訪問記(2)

株式会社カナルファ 代表取締役 穂森幸一さん

脱常識・超顧客密着で人生を演出する伝道者

キリスト教会の牧師としてホテルや結婚式場でのチャペル結婚式の企画を主な業務として歩んできた穂森さん。その結婚事情が少子化に伴い激変する中、還暦という節目で新たに葬祭分野へと進出を図った。人の生と死に対する価値観が大きく様変わりした現在、このビジネスをどのように展開していくのか、また、この仕事に携わる者としての心構えなどを伺った。

異色の葬儀サービスで第二の創業

―これまでの経歴を教えて下さい。
高校卒業後、大阪のミッションスクールに入ったのですが、そのキッカケは英語を早く覚えられるというものでした。牧師としては、チャペル結婚式の企画・施工等を手掛け、過去5千組ものお手伝いをさせていただきました。会社設立は平成19年です。

葬祭分野への進出は、近年、東京や福岡あたりからブライダルビジネスに進出する大手企業が増え、業界全体として厳しさが顕著になってきたことが要因です。加えて少子化や価値観の多様化により結婚式の規模も縮小傾向にあったことから思い切って葬祭分野へ進出しました。これによって慶びと悲しみという人生の両面で頼られる存在になれるのではないかと思っております。

―キリスト教となると他の宗教との絡みで苦労されるのではないですか?
確かにそういう面もあります。ただ、私たちが企画する葬儀は「チャペルセレモニー」と称して“花と音楽に包まれて故人を送りだす”というテーマを掲げ、決して宗教性を無理強いせず故人や家族の思いに沿ったスタイルを心掛けておりますので抵抗感はないと思います。そのお陰でしょうか、弊社が県の経営革新計画の知事承認を受けてからというもの、キリスト教以外の方の葬儀を数件お引き受けさせていただいております。

しなやかな感性で葬儀の世界に爽やかな新風を吹かせる

“絆”が新しい日本を作っていく

―葬儀への考え方が変わってきているのですか?
いろいろな機関の調査によりますと、都市部の四分の三、地方では三分の二の方が宗教離れしていると言われています。その裏返しなのかもしれませんが、宗教色を出さない人前式結婚式が好まれ、葬儀を行わずに火葬場に直行する直葬が増えているようです。

しかし、今度の東日本大震災を通じて「家族の絆・人と人との絆」の重要性や命とは何かを改めて感じた人が多かったように思います。私自身は心の拠り所としての宗教の必要性を強く感じています。宗教心を持っているから命や絆について深く考え相手のことを尊重すると思うのです。しかし、だからといって特定の宗教を押し付けるものであってはいけません。

そうした意味からも葬儀や結婚式のスタイルは時代によって変わっていっていいと思います。これまで死について語ることなどタブーとされてきましたが、着実に世の中は葬儀に対する考え方が変わってきております。そのひとつの例が家族葬や音楽葬、海上葬など故人の希望に沿ったスタイルの葬儀です。また、必ずしもそれは葬儀という形ではなく、その人らしさがにじみ出る「お別れの会」であってもいいと思います。まさにそういう意味で常識や過去の慣習に捉われない柔軟さが必要だと思います。

理解者をまず増やす

―どのような方法で告知を図っていかれるのですか?
葬儀は非常にナイーブな場面に接するだけに私たちのスタイルを理解して下さるようじっくり腰を据えた活動をしていきたいと思っています。

その一つが人の生き方を考えるという意味の「エンディングセミナー」です。これから先の人生設計の一助になればということで過去7回開催させていただきました。テーマは「高齢者心理」「遺産相続」「年金」「メディカルコーチング」それに「自分史づくり」についても開催させていただきました。会を追うごとに皆さんの関心も高まりいささかでもお役に立てたのかなと自負しております。

また、ブライダル、葬儀など4つの分野からなるブログ・ホームページの発信や漫画冊子による啓蒙活動なども行っております。

大同団結し宗教者としての役割を果たす

―宗教界でも新しい取り組みが始まっているそうですね
鹿児島でこのほど宗教懇話会というものが発足しました。これは仏教、神道、キリスト教、新宗教などの宗旨、宗派を超えて宗教界の役割を再認識していこうという取り組みです。

その取り組みの一例として、東日本大震災の経験談を伝えるというものです。僧侶や神主、牧師が東北の現地に飛び、自衛隊員やドクター、ボランティアなどとの交流を通して感じたままを伝えるといった活動です。

また、学校教育でも何かできることはないかと考えています。現在の殺伐とした世相の背景に宗教観をキチンと教えて来なかったことも無関係ではないかもしれません。もちろん私たちが何かの宗教を押し付けるのではなく、経験してきたことを率直に語り、そこから子供たちが何を学ぶか、その契機になればと思うのです。例えば、物質に恵まれないアジアやアフリカの貧しい国を訪れた宗教者が、そこで体験したこと、例えばパン1個を家族10人で分け合うという暮らしから子供たちに何を感じ取ってもらうか、その体験談を率直に語ることで子供たちの感性がどんどん高まっていくはずです。

 

取材を終わって

現在、死をタブー化しない傾向が強まりつつあると同時に世はまさに多死化時代。また、人々の価値観も多様化しているからこそ、業界においてはクォリティの高いサービスを提供する必要があります。しかし、葬儀を単なるビジネスと捉えるのではなく、人々の心に寄り添える職業と考える穂森さんは家族経営を旨とし、きめの細かいオーダーメイドのサービスを届けたいと語ります。穂森さんの挑戦が一人一人の人生を輝かせると同時に爽やかな感動を生むことでしょう。

株式会社カナルファ概要

〒892-0815 鹿児島市易居町1-2 鹿児島市役所みなと大通り別館6F-16
TEL:099-252-1223

業務内容

◆ブライダル
◆結婚カウンセリング
◆キリスト教葬儀
◆出版など

同社ウェブサイト

http://www.canalpha.co.jp/

鹿児島県中小企業家同友会「お問い合わせ」